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福翁百話① [書籍]

1万円札でもなじみの深い、明治の代表的な啓蒙思想家「福沢諭吉」。
その福沢諭吉が折にふれて話したことを、筆で綴った「福翁百話」。
宇宙の話から、男女の情愛まで文語体を平易な現代語に訳した、読みやすい100の話。
福沢は「自分たちの今日があるのは先人の辛苦の賜物であって、その恩に報いるためには、
更に辛苦を重ねて子孫に役立つことをしなければならない」ということも、述べている。珠玉の1冊。

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十話・人間の心は広大無辺なり(人生は理屈通りでないからこそ安らかである)

人間の一生というのは、見る影もないウジ虫と同じで、朝の露の乾く間もない50年か70年の間を、
何とはなしに遊びながら生きて、やがて死んでいくまでのことだから、
自分の身をはじめ、すべての物事を軽く見て、やたら真面目すぎないほうがよい。
生まれるということは死ぬということの約束であって、死も格別驚くことではない。

まして、浮世の貧富苦楽などは驚くにあたらない。人生における浮き沈みは定まっていないだけではなくて、
貧しい人が必ずしも常に、苦しみの中にいるのでもなければ、富める人が必ずしも常に、楽しさの中にいるのでもない。
苦痛も安楽も一時の遊びであって、その時が過ぎれば消えて跡形もなくなるのである。

このことを知るのが、心を安定させるための、最も大切な方法であることをまず深く胸の中に収めておいて、
さて、それでは、今日の浮世を渡るには、その方法をどう使っていったらいいのだろうかと、考えてみたい。(一部抜粋)


カバー写真・パリにて撮影



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